「MOS資格って何?いつどこで受けられるの?」
「試験の概要や難易度を知りたい」
「取得するとどんなメリットがあるの?」
MOS資格に興味があるものの、実務に役立つのか、自分でも合格できるのかわからず、受験を躊躇していませんか。
MOSとは、WordやExcelといったオフィスソフトの一定以上の操作スキルを証明する資格です。
「就職や転職に役立つ」とされる一方で「必要ない」という意見もあり、せっかく取得しても無駄にならないか迷ってしまいますよね。
そこで本記事では、以下の内容を解説します。
- MOS試験の概要
- 難易度と合格率
- 取得するメリット
- 合格するための勉強法
結論から言うと、MOSは取得しても損にならないどころか、さまざまなメリットが得られる資格です。
記事を読めば、MOS試験のメリットが理解でき、モチベーションを高く保ったまま受験に臨めるはず。
興味がある方、受験を考えている方はぜひ最後までお読みください。
じゃぱそん(田中 慎也)

株式会社じゃぱそん代表。
- 株式会社東京リーガルマインド(LEC)講師
- 「最短合格!MOS Word 365徹底演習」(JMAM)著者
- 株式会社DIK&Company主催「ExcelCamp」講師
- Webライティング講座「ライじゃぱ」講師・運営統括
エンジニア、ITコンサルタントを経て現職。
前職の経験を活かし、オンラインで講師を務める。
現場で200名以上にプログラミングを教え、Udemyでは3,000名以上に動画講座を提供。
MOSはパソコンスキルを証明する国際資格
MOSは、WordやExcelといったオフィスソフトの操作スキルを証明する資格です。
Microsoft Officeの開発・販売元であるマイクロソフト社が認定する資格で、Microsoft Office Specialist(マイクロソフト・オフィス・スペシャリスト)の頭文字をとって、MOS(モス/エム・オー・エス)と呼ばれています。
マイクロソフト社のオフィスソフトはさまざまな国で活用されているため、国内だけでなく、世界で通用する資格としても注目を集めています。
なお、MOSは単体の試験ではなく、複数の試験科目からなる資格の総称です。
2023年春時点で、計20種類の試験があります。オフィスソフトのバージョンアップと共に試験内容が更新されており、最新バージョンは4月から試験が開始された「MOS365」です。
MOS試験の概要
ここからは、MOS試験の概要を以下の5つの項目にわけて紹介します。
- 受験資格
- 試験形式
- 試験科目
- 受験方法
- 合否の発表
それぞれの項目を詳しくチェックしてみましょう。
【受験資格】誰でも受験可能
MOSには受験資格がありません。
そのため、国籍や年齢、学歴を問わず誰でも受験できます。
未成年であっても、申し込み時に保護者の同意を得ていれば受験が可能です。
2022年12月31日時点の累計受験者数は、日本国内だけでも480万人を超えています。
また、2022年にMOS試験を受けた方の半数以上が30歳以下であることから、特に若い世代に人気の資格といえるでしょう。

【試験形式】50分間の実技試験
試験形式は以下のとおりです。
試験時間 | 50分間 |
試験形式 | 実技試験 |
出題形式 | マルチプロジェクト形式 |
問題数 | 50問程度(試験によって異なる) |
試験はWordやExcelなど、対象のオフィスソフトを実際に操作して行います。
Windows版のみで、Macには対応していません。
問題は「プロジェクト」と呼ばれる5〜10個の大問で構成されており、1つのプロジェクトには1~7個の「タスク」と呼ばれる小問が含まれています。
下記の画像は、試験画面のイメージ図です。

試験で出題されるのは、より実践的で広範囲の機能です。
たとえば、Excelの一般レベルでは以下のような問題が出題されます。
- 例1:セル範囲A2:B10だけが印刷されるよう、印刷範囲の設定をしてください。
- 例2:関数を使って、C8に得点の最高点を表示してください。
- 例3:テスト結果の表を使って、名前ごとの合計を表す集合横棒グラフを作成してください。
実務でExcelを使っている方は、問題と似たような操作に戸惑ったことがあるのではないでしょうか。MOSを勉強すれば、上記のような基本的な操作を、いちいちネット検索等をしなくてもスムーズに行えるようになります。
【試験科目】バージョン・対応ソフト・レベル・受験料・名称(2023年春時点)
MOSには、2023年春時点で計20種類の試験があります。
ここでは試験科目を以下の項目にわけて解説します。
- バージョン
- バージョンごとの対応ソフト
- レベル
- 受験料
- レベルごとの名称
たとえば「Excelの資格を取りたい」と思っても、同じオフィスソフトでもバージョンやレベルによって複数の試験が存在するため、混乱しやすいです。
迷わず申し込めるよう、詳しくチェックしていきましょう。
1. バージョン
バージョンについて、今後はMOS365に統一される方針です。*
これまでは3年に1度のペースで、OFFICE製品のバージョンに合わせた新試験が登場していました。
そのため現在、複数のバージョンの試験が実施されています。
2023年時点で試験として存在するのは、以下の3つのバージョンです。
過去の傾向から、旧バージョンは開始して6年程度で廃止になっています。
2026年には、1つ前のMOS2019が廃止され、MOS365のみに統一されるでしょう。
バージョン | 試験開始年月 | 廃止見込み |
---|---|---|
MOS365 | 2023年4月~ | -(半永久) |
MOS2019(旧名称:365&2019) | 2020年2月~ | ~2026年 |
MOS2016 | 2017年1月~ | ~2023年 |
*MOSの運営元であるCertiportの動画「Microsoft Office Specialist – Microsoft 365 Apps exam」より
(MOS2019の名称の注意点)
MOS2019は、もともと「MOS365&2019」という名称でした。
しかし、最新バージョンのMOS365の登場に伴って改名され、現在はMOS2019という名称になっています。
参考書や講座名には改名前の「MOS365&2019」表記が使われているものが多く、最新バージョンであるMOS365と間違えやすいので注意が必要です。
例えば、以下の参考書は、旧バージョンMOS2019対応のものです。
本のタイトルに「MOS365」と入っており、しかもamazonで「MOS365」と検索した際、上位に表示されるので要注意・・!
2. バージョンごとの対応ソフト
MOS試験では、バージョンによって対応しているソフトが以下のように異なります。
MOS365では、Accessの試験が廃止されました。
ソフト | 365 | 2019(365&2019) |
Word(文書作成ソフト) | ○ | ○ |
Excel(表計算ソフト) | ○ | ○ |
PowerPoint(プレゼンテーションソフト) | ○ | ○ |
Access(データベース管理ソフト) | × | △(上級レベルのみ) |
Outlook(電子メール・情報管理ソフト) | ○ | ○ |
よって、Accessの資格を取得したい場合は、2019の上級レベル(または2016の一般レベル)の試験を受ける必要があります。
3. レベル
MOSには、一般レベルと上級レベルがあります。
最新のMOS365では、上級レベルがあるのは以下の2科目のみです。
- Word
- Excel
一般レベルは基本的な操作が、上級レベルはより高度な操作が求められる試験です。
試験範囲は重複していないため、受験する際はレベルに応じた内容を学習する必要があります。
なお、上級レベルは一般レベルに受かっていなくても受験が可能です。
4. 受験料
MOSの受験料は以下のとおりです。
レベル | 受験料(※すべて税込) |
一般 | 10,780円(学割:8,580円) |
上級 | 12,980円(学割:10,780円) |
受験料は申し込むレベルによって異なり、上級レベルは料金が高くなります。
また、学生の場合は学生証または在学証明書の提示によって、一般の料金から2,200円の割引が適用されます。
ただし学割を受けるためには、申込みの時点で学生である旨の申告が必須です。
後から申告しても、払い戻しはないので注意しましょう。
5. レベルごとの名称
MOSには、レベルごとに以下のように異なる名称があります。
レベル | 名称 |
一般 | ・称号なし ・スペシャリスト ・アソシエイト のいずれか |
上級 | エキスパート |
もともと一般レベルの公式名称は「スペシャリスト」でしたが、あるタイミングから「アソシエイト」に変更されました。
MOS365でも「アソシエイト」の名前が引き継がれますが、パソコン教室や参考書ではまだ呼び方が統一されておらず、
- 称号なし
- スペシャリスト
- アソシエイト
の3つが混在している状態なので注意が必要です。
「エキスパートが上級、それ以外は一般レベル」と覚えておくと間違いありません。
よくある疑問:どのバージョンを受けたらいいの?
結論としては、最新バージョンであるMOS365の取得をおすすめします。
なぜなら、MOSの運営元であるCertiportによって、今後の試験はMOS365に統一していくと発表されているからです。
MOS365以前の試験はいずれ廃止される可能性があるうえ、製品のサポートが終了すれば有効期限切れの資格になるおそれがあります。
よって、これから受験するのであれば、資格としての有効期限がないMOS365の取得がおすすめです。
最新バージョンを取得していれば、資格をアピールする際により新しい製品・機能を使いこなせる証明にもなるでしょう。
職場や自宅のソフトのバージョンに合わせて取得する方法もありますが、現状ではMOS2019とMOS365には大きな違いがほとんど違いがありません。
職場や自宅のソフトもいずれは新しいバージョンになることを踏まえれば、MOS365を受ける方が無難でしょう。
【受験方法】全国一斉試験または随時試験
個人で申し込む場合は、以下の2つの受験方法から選択します。
- 全国一斉試験
- 随時試験
それぞれの違いは以下のとおりです。
全国一斉試験 | 随時試験 | |
試験会場 | 全国の一斉試験実施会場より希望する | 全国約1,700の会場より選択する |
試験実施日 | 月1回 | 試験会場によって異なる |
試験開始時間 | 選べない | 選べる |
申込み方法 | オンライン申込み (試験日の約1ヶ月~1ヶ月半前から申込み開始) | 各試験会場へ申込み |
一度に申込み可能な科目数 | 同一バージョンで3科目まで | 試験会場によって異なる |
個人で受験する場合は、随時試験をおすすめします。
なぜなら、随時試験には全国一斉試験にはない以下のメリットがあるからです。
- 試験会場をピンポイントで選択できる
- 試験の開始時間が選べる
- 毎週(試験会場によっては毎日)試験を実施している
随時試験の場合、会場となるのは地域の資格スクールやパソコン教室です。
毎日のように試験が行われているため、ご自身の都合に合わせて日時を選択できます。
ただし、場所によっては試験を受けられる曜日や資格の種類・バージョンなどが限定されているため、最寄りの会場のスケジュールを確認してみると良いでしょう。
全国一斉試験の場合、会場は希望制です。
希望が叶わなかった場合は、遠方の試験会場になる可能性があります。
また、試験開始時間を選べない点にも注意が必要です。
【合否の発表】試験終了後すぐに通知される
合否は試験終了後、パソコン画面にてすぐに通知されます。
また、得点・合否・分野別正解率を記載した「試験結果レポート」の用紙がもらえます。
合格者が受け取れる「デジタル認定証」は世界共通で、合格当日から閲覧・使用が可能です。
なお、不合格だった場合は再受験ができます。
ただし、同じ科目を2回目に受験する場合は前回の受験から24時間、3回目以降の受験は48時間以上空ける必要があります。
MOS試験の難易度は中!合格率は非公開
MOS試験の難易度はそれほど高くなく、勉強すれば合格できるレベルといわれています。
合格点の目安は、公式には1000点満点中550~850点の範囲とされていますが、基本的には700点固定です。
ただし、
- 新バージョン公開時
- 試験問題の改定時
など、変更の直後には難易度調整のために、550~850点の範囲で調整される可能性がある点に留意しましょう。
MOSに合格するなら試験対策は必須!勉強法3選
これから操作方法を学ぶ方はもちろんですが、普段からオフィスソフトを使い慣れている方であっても、試験対策をしておくことをおすすめします。
なぜなら、試験の形式や時間配分、独特の言い回しなどに慣れておかないと、戸惑って実力を出しきれないおそれがあるからです。
試験に合格するための勉強方法は、以下の3通りです。
- 独学
- 通学
- オンライン講座
まずは、それぞれの費用と学習期間の目安、特徴を一覧表でチェックしてみましょう。
費用の目安 | 学習期間の目安 | 特徴 | |
独学 | 0円〜3千円 | 1ヶ月~半年程度 | 費用が抑えられる |
通学 | 3~15万円 | 1週間~3ヶ月程度 | 手厚いサポートが受けやすい |
オンライン講座 | 2~3万円 | 1週間~1ヶ月程度 | 自分のペースで受講できる |
ここからは、それぞれの勉強方法やおすすめな方の特徴を詳しく紹介します。
1. 費用を抑えたいなら【独学】
MOS資格は知名度が高く市販の参考書が充実しているため、独学での取得も狙えます。
独学がおすすめな人の特徴は、以下のとおりです。
- なるべく費用をかけたくない
- 疑問点を自力で調べて解消できる
- 自分で学習管理が行える
独学にかかる費用は、参考書代くらいです。
普段からオフィスソフトを扱っており、熟練度も高い方は独学でも成功しやすいでしょう。
独学におすすめの参考書は、FOM出版、日経BP社から出版されているシリーズです。
出題範囲を完全に網羅しており、解説・練習問題・模擬試験がセットになっているので、1冊で試験対策ができます。
なお、合格に必要な学習時間は、一般的に経験者で20時間、初心者で80~100時間程度といわれています。
2. 対面でサポートしてもらいたいなら【通学】
MOS資格は、多くの資格スクールやパソコン教室で対策講座が実施されています。
通学がおすすめな人の特徴は、以下のとおりです。
- パソコンの操作が苦手・または経験がほとんどない
- 自宅に対応のパソコンがない
- スクールに通う時間とお金を確保できる
パソコンの操作に慣れていないと、学習以前のことでつまずきやすいです。
対面ならわからないことはその場で教えてもらえるので、立ち止まらずに学習を進められるでしょう。
通学の費用相場は3~15万円程度です。
通学は、独学やオンライン講座に比べると費用が割高な傾向があります。
また、集団レッスンかマンツーマンレッスンかによって価格帯が幅広いのも特徴です。
講座費用のほかに入学金が必要となるケースもあるので、トータルでかかる金額を確認しておくと良いでしょう。
3. 隙間時間を有効活用したいなら【オンライン講座】
オンライン講座には、リアルタイムで講師から教わるライブ型と、録画講義を自分の好きなタイミングで再生するオンデマンド型があります。
ここではオンデマンド型を紹介します。
オンデマンド型のオンライン講座がおすすめな人の特徴は、以下のとおりです。
- 自分のタイミングで講義を再生・中断したい
- わからないところは何度も見返して復習したい
- 近くに通えるパソコン教室がない
オンライン講座の費用相場は2~3万円程度ですが、ライブ型の場合は10万円を超えるケースもあります。
受講ペースが自分で決められるため、資格取得まで時間がなく短期で一気に進めたい方から、毎日コツコツ進めたい方までマッチする勉強方法です。。
まとめ:今受けるならMOS365
MOSは、マイクロソフト社が認定する国際的な資格です。
取得すれば、WordやExcelといったオフィスソフトの一定以上の操作スキルを証明できます。
新しいバージョンのオフィスソフトが登場するごとに試験の増設・廃止が繰り返されており、2023年時点の最新バージョンは「MOS365」です。
MOSの運営元であるCertiportは、今後は新たな試験の増設は行わず、MOS365の内容をアップデートしていく方針を発表しています。
そのため、これからMOS試験を受ける方は、資格の有効期限がないMOS365を受験すると良いでしょう。
高難易度の試験ではないため、自分に合った方法で試験対策をきちんと行えば、合格できる可能性は高いです。
監修:じゃぱそん
執筆:きむらのりこ