この記事ではExcelのFILTER関数について
- フィルター機能との違い
- 引数の指定方法
- MOS365 Excel Expertでの出題例
- 注意点
を解説します。
じゃぱそん(田中 慎也)
株式会社じゃぱそん代表。
- 株式会社東京リーガルマインド(LEC)提供の「MOS365講座(Excel)」講師
- 「最短合格!MOS Word 365徹底演習」(日本能率協会マネジメントセンター様)著者
- 株式会社DIK&Company主催のExcel講座「ExcelCamp」講師
- 自社のWebライティング講座「ライじゃぱ」講師・運営統括
株式会社大塚商会にてエンジニア、デロイト トーマツ コンサルティング合同会社にてITコンサルタントを経て現職。
前職の経験を活かし、オンラインで講師を務める。ITツール全般、プログラミング、ライティングを得意とする。現場で200名以上にプログラミングを教え、オンライン教育プラットフォーム「Udemy」では2,500名以上に動画講座を提供。
FILTER関数はMOS(Microsoft Office Specialist)365 Excel Expertの試験範囲です。
MOSの学習を通じて、FILTER関数を何度も入力し、使い方をマスターできます。
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FILTER関数の用途・フィルター機能との違い
FILTER関数は、表から条件に合致するデータだけを抽出する関数です。
フィルター機能との違いは、以下3点。
FILTER関数 | フィルター機能 | |
元の表と・・ | 別 | 一緒 |
絞り込み条件の変更 | 複雑 | 簡単 |
2019以前のExcel | 非対応 | 対応 |
最大の違いは、「元の表が表示されたまま」になること。
絞り込み前の表と、絞り込み後の表で比較したい場合はFILTER関数一択となります。
(元の表)
(フィルター機能で絞り込んだ場合)
(FILTER関数で絞り込んだ場合)
一方で、絞り込み条件を変更するには式を書き換える必要があり、少し複雑です。
(条件変更時に変える変更がある箇所)
また、FILTER関数は比較的最近に追加された関数であり、Microsoft365かOFFICE2021のみ対応しています。OFFICE2019以前のExcelでは、使えないので、注意しましょう。
FILTER関数の引数
FILTER関数の引数は、以下の3つです。
- 配列
- 含む
- 空の場合
それぞれ、簡単に解説します。
1.配列
配列には、絞り込みを行う表のデータ範囲を指定します。
注意点は、「タイトル行は含まない」こと。
データ範囲だけを指定します。
2.含む
絞り込みを行う列と、式を記載します。
カテゴリの列が、「モバイルデバイス」のレコードを抽出したい場合、以下のように記述します。
ガジェット一覧[カテゴリ]=”モバイルデバイス” |
=の後ろには、値ではなくセルを指定することも可能です。
以下、セルB13を指定した例です。
3.空の場合
データが存在しなかった場合に、表示する内容を指定します。
必須ではなく、省略した場合は「#CALC!」が表示されます。
何も表示したくない場合は、””を指定します。
FILTER関数の作成手順とMOS365 Excel Expertでの例題
FILTER関数は、Microsoft Office Specialist(MOS)365 Excel Expertという試験の出題範囲です。
FILTER関数の具体的な作成手順を、MOS365の例題に沿って解説します。
問題
シート「ガジェット一覧」のセルA15に、テーブル「ガジェット一覧」から「カテゴリ」が「モバイルデバイス」のデータをすべて抽出する数式を入力してください。セルB13のカテゴリが変更されても、再計算されるようにします。 |
解説
- セルA15を選択し、「=fil」を入力してTabキー
*Tabキーで候補を選択できます。 - Shift+F3
*Shift+F3で、関数の引数ウィンドウを起動します。 - テーブル「ガジェット一覧」のすべての列のデータ範囲を選択
*データをすべて抽出するので、データ範囲を全選択します。
*左上のセルを選択し、Ctrl+Shift+→、Ctrl+Shift+↓で素早く選択できます。 - 〈含む〉に移動し、カテゴリの列のデータ範囲を選択
- 続けて「=」を入力し、セルB13を選択し、Enter
(実行結果)
FILTER関数はMOS(Microsoft Office Specialist)365 Excel Expertの試験範囲です。
MOSの学習を通じて、FILTER関数を何度も入力し、使い方をマスターできます。
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FILTER関数の注意点
FILTER関数は、シンプルに見えてクセが強いです。
利用時に注意すべき点をお伝えします。
タイトル行は別途用意する
FILTER関数は、条件に合致したレコードだけを返します。
作成する際は、関数を入力するセルの上の行にタイトルを用意しておきましょう。
「含む」の指定方法が独特(セル範囲=条件)
FILTER関数の「含む」は、指定方法が独特です。
ガジェット一覧[カテゴリ]=”モバイルデバイス” |
上記のように「範囲=条件」の形で記載しますが、他の関数ではこの形で指定することはありません。
例えば・・
- IF・IFS関数の場合
「B4=”はい”」など、「セル=条件」の形で指定する - SUMIFSなどのIFS○○関数の場合
「条件範囲」と「条件」を別の引数で指定する
範囲指定した上で、その後ろに続けて「=”モバイルデバイス”」と条件を書くような指定方法は、FILTER関数のみ。
FILTER関数を作成する際は「含む」の指定が特殊だったことを思い出しましょう。
そして、他の関数を作成する際に、FILTER関数の「含む」のような指定をしないよう、混乱しないことです。
Andは「*」、Orは「+」
FILTER関数の「含む」内で、式同士を*もしくは+で繋げて指定することで、And条件、OR条件を指定可能です。「AND」「OR」はそのまま使えないので注意しましょう。
条件 | 式 | 入力方法 |
---|---|---|
AND | * | Shiftを押しながら「L」の2つ右のキー |
OR | + | Shiftを押しながら「L」の1つ右のキー |
例:「カテゴリ列がモバイルデバイス」 かつ、「価格(円)列が80000」
(含む内の記述)
(ガジェット一覧[カテゴリ]=B13)*(ガジェット一覧[価格 (円)]=80000) |
(式全体)
=FILTER(ガジェット一覧,(ガジェット一覧[カテゴリ]=B13)*(ガジェット一覧[価格 (円)]=80000)) |
例:「カテゴリ列がモバイルデバイス」もしくは、「カテゴリ列がコンピュータ」
(含む内の記述)
(ガジェット一覧[カテゴリ]=”モバイルデバイス”)+(ガジェット一覧[カテゴリ]=”コンピュータ”) |
(式全体)
=FILTER(ガジェット一覧,(ガジェット一覧[カテゴリ]=”モバイルデバイス”)+(ガジェット一覧[カテゴリ]=”コンピュータ”)) |
FILTER関数はMOS(Microsoft Office Specialist)365 Excel Expertの試験範囲です。
MOSの学習を通じて、FILTER関数を何度も入力し、使い方をマスターできます。
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